水生動物における腸内細菌叢の形成
孵化したばかりの水生種苗の腸内には、関連する細菌株が定着していないと一般に考えられています。水と接触すると、水環境中の微生物が優先的に腸内に吸着し、徐々に腸内細菌叢を形成します。杉田らは1985年に、ティラピア（Oreochromis mosambicus）の幼魚の腸内細菌叢が孵化後20-60日以内に確立されたことを初めて報告し、これらの微生物は水域、底質、または他の魚の糞便に由来する可能性があると推測しました。Gatesoopeらも同様の研究結果を報告しており、細菌は水生動物の口腔から腸内に侵入し、一部の菌株は水生動物が初めて摂食を開始した時点で腸内で優勢な細菌になる可能性があることを示唆しています。ほとんどの水生動物はえらで呼吸し、口から食物を摂取するため、水環境で摂取した食物や接触した細菌は体内に入り、一定期間順応した後に腸内に定着し、水生動物の腸内細菌叢の形成に影響を与えます。
水生動物の腸内細菌叢の構成
水生動物の腸内細菌叢は、正常細菌叢と一過性細菌叢の 2 つのカテゴリに分けられます。正常細菌叢は、魚の腸管に定期的に定着する固有の細菌で構成されています。通常の状況では、魚に病気を引き起こすことはなく、水生動物にとって有益で必要です。プロバイオティクスは正常細菌叢の 1 つです。さまざまな海洋および淡水水生動物の腸内細菌叢は、さまざまな種類の細菌で構成されており、含まれる細菌の数は固定されていません。細菌の種類と量は、繁殖時期、食物組成、主食、空腹と満腹の状態、および生活環境によって異なる場合があります。多数の研究により、海洋水生動物の腸内細菌種は主にバチルス、ビブリオ、および大腸菌であり、腸内細菌数は 106 〜 108 CFU/g の範囲でわずかに多いことが示されています。対照的に、淡水水生動物の腸内細菌種は主にラクトバチルス、ビフィズス菌、エロモナスであり、腸内細菌数は 105 ～ 107 CFU/g の範囲です。
